暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

雑記-門馬雄介『細野晴臣と彼らの時代』

 門馬雄介『細野晴臣と彼らの時代』を読み終えた。

 細野晴臣を軸に据えて、1960年代から現在に至るまでの日本のロック、ポップスを事実、当時の記事、当事者たちの回想を織り交ぜて一つの歴史として照射した本で、大変読みごたえがあった。読み始めてすぐに、これはもうおもしろいノンフィクションものが持つそれやん、と嬉しくなった、息が合ったものを読む歓びがあったのだ。それは最後のページまで続いた。

 

 471ページより引用。

 思いかえすと、楽しい思い出がいくつもあった。はっぴいえんどを組む前後のころ、白金台の家で細野は眼鏡と丹前を身につけ、松本清張の真似をしてやってくる彼を出迎えた。狭山アメリカ村時代には大滝に請われ、家の庭でニワトリの物まねをえんえんと披露した。…(後略)

 大滝詠一が亡くなってからの、細野晴臣にとってその存在の大きさに改めて気づく中で、上記の文章がやってきて、吹き出してしまった。想像するだにシュールな情景…その後の記述を読めば文章が配置された意味は分かるけど、おもしろすぎる。松本清張の物まねは多く見かけるあのポーズかなと思うが、その頃のスタンダードな物まねだったんだろうか…。

 はっぴいえんどYMOの作品を齧る程度しか聴いていない身で、音に当たるだけでなく、発表前後の様々な流れを事実に基づいた記述から知ると、その時々の色合いが見えるようになり、違うアプローチで聴く、体験してまた音が響くようになってきた。サブスク片手に膨大な作品群に沿って、自分に合う、これまでとこれからのルーツを探りゆく楽しみが見えてきたようで、この本を読んだ意義は大きい。いろんな作品を聴いていきたいし、細野晴臣が今その時に放っていった作品、言葉を取り込んで、世界を見ていきたい。ということでようやくSpotifyを有料契約した。しばらく広大な音楽の世界を漂っていこう。

 

*

 

 読みたい本や観たい映画、聴きたい曲、アルバムは増えていき、対面する時間、意識が流れていくのはどんどん速く、眠気は増して、一つひとつ向かっていくしかやっぱり道は無し。細野晴臣の作品をもっと聴く、読みたい。

 ラジオは毎週聴いたり聴かなかったりだけど、音楽の広がりを教えてくれる番組はもっと聴いて、手を伸ばしていきたいな。

山下達郎のサンデー・ソングブック
草野マサムネのロック大陸漫遊記」

細野晴臣の番組「Daisy Holiday! 」、

また毎週聴くようなモードになっていきたい。