雑記-河村清明『【増補版】ゴールドシップ 黄金の航海を支えた「人の和」と新たな船出の物語』
河村清明『【増補版】ゴールドシップ 黄金の航海を支えた「人の和」と新たな船出の物語』を読み終えた。
ゴールドシップが繋養されているビッグレッドファーム、その創設者・岡田繁幸が、2019年の札幌2歳Sでゴールドシップ産駒がワンツーを決めた時( 1着ブラックホール、2着サトノゴールド )に発したコメントを引用する。
勝ったブラックホールをパドックで見て、小柄ではあっても、あれこそゴールドシップじゃないと出ない体質だな、と感じたんです。ほかのタネ馬を何十頭、何百頭付けても、ああいう体質の産駒は出ないものなんですよ。
"真剣に走れ"と命令された時に、体の芯に力が入って、ギューンと伸びられる。それは遺伝子の力、血統のなせる業なんです。鍛えられてどうこう、ではないんですね。
このコメントを読んで、昨年2022年の末、12月18日(日) 阪神5R 2歳新馬を制したマイネルラウレアの走りを思い出した。
直線の途中で外に進路を取られると、ゴム毬のように馬体が躍動しぐんぐんぐんぐんと伸びていって差し切ったその脚こそ、上記のコメントがまさにと思ったのだ。
マイネルラウレアの父はゴールドシップ、母父はロージズインメイ、そこはオークスを制したユーバーレーベンと同じ配置、血統を見ていくと母マイネボヌール、母母コスモフォーチュン、母母父マイネルラヴ、…とサラブレッドクラブ・ラフィアンゆかりの血ばかり、そのマイネルラウレアが牡馬クラシック戦線へ名乗りを上げ、活躍してゆくことを夢見る。直線のあの走りは、人に大きな夢を見させることができる、父譲りのスケールの大きさがあると、一競馬ファンとして期待している。
…こう書くにつれて、現役時代も、種牡馬になっても、夢のある馬なんだなとつくづく思う。本書でのゴールドシップのオーナー、生産者サイドの関係者のコメントや、( コロナ禍前での )見学に訪れるファンの様子等を読んでいくと、長生きして、世を魅了していってほしい、と切に願わざるをえない、ゴールドシップ。