暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

雑記 - 西澤保彦『方舟は冬の国へ』

 西澤保彦『方舟は冬の国へ』を読み終えた。

 

 作中で言及されているように、荒唐無稽な道具立てに、懐疑と推論から錯綜していく現実、どういう結末を--破綻か、昇華を迎えるのだろうか…と思いながら読み進めての、最終話、最後の2節で全部持っていかれた。
 終盤に開陳された死者の残留思念、神の意識へのチャンネルを接続する、といった誇大妄想に聞こえる内容を踏まえて、どこまでも考えられるようであり、和人、理香、玲衣奈、離れがたい結びつきが出来たこの三人が生きてその未来へ進みたい、という意思として読みたい気持ちあり、こんな破格の家族ものがあって良い、となったのだった。

 

 連載作品として、細かい粗は幾らでもあることを踏まえてどんどん進めていく勢い、あとがきにあるように第一話の後に連作パズラーから路線変更したのが作用していた。

 またこのキャラに会いたいな、という気持ちがある、良い作品だ。

 ノベルスの表紙、ラストを思うと、こうであってほしい、こうなっている、と強く願う、じーんとなる…。

 

*

 

 西澤保彦の作品、『麦酒の家の冒険』『方舟は冬の国へ』を続けて読んだ。
 

 会話文での句点の使い方や、本題からズレてでも徹底する恨み節の描き方に、強めのクセを感じるものの、約20年前に抱いたほどの苦手感は無し。
 匠千暁シリーズは読み進めていく、ということで『解体諸因』を読書中、他の作品も手を伸ばす予定。
 気になっていた作品を読んで良かったな。