暗闇のほとりで

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雑記-西尾維新『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』

 西尾維新『キドナプキディング 青色サヴァン戯言遣いの娘』を読み終えた。

 はったりに大言壮語、驚天動地なところへと至る様、戯言シリーズを読んだ!という充実感でいっぱいです。締めくくりがアットホームな趣きがあるのも魅力的。

 冒頭の「私は玖渚盾。誇らしき盾。」という文章を読んだ時も、読み終えてこの冒頭に立ち返った時も、この文章の力強さが作品を一貫していたんだなと、約20年前に戯言シリーズの一読者だった身から、『ネコソギラジカル』での「ぼく達は、幸せになった。」を引いて、青色サヴァン戯言遣いの娘にそれぞれの力が継承された意味合いに、しみじみとなりました。

 「アトガキ」にある「終わりでも始まりでもない続きという感じ」という言葉がこの作品をまさに照らしているけれど、これはもう、続きを読みたい、従姉妹の玖渚遠との信頼感のあるやり取りをまた読みたいじゃないか、そもそもがこの作品全体が新しいお話の前日談なのではないか…待望の新作を祈願します。

 

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 西尾維新『キドナプキディング 青色サヴァン戯言遣いの娘』読書中にツイッターマストドンに書き込んだ内容を転記しておく。読んで立ち止まって記しておきたいという気持ちが働いているくらいだから、やっぱり戯言シリーズは思い入れのあるシリーズだったな…。

 

講談社ノベルス、二段組だ!そこがまずもう嬉しい。そして饒舌な十代の語りに人類最強の請負人天上天下唯我独尊の振る舞い、掴みはオッケーだ。

・「畏まると殺される世界観なんですか? 畏まりました」そうよね…。
・「他人を自覚的に意識的に踏み台にできる人間ってのは、なかなかどうして怖いものがあるよな」くすぐり、サービス満点やなあ…。

・162ページより、 「娘が死んだら、パパは三日くらい地獄の底みたいに懊悩して、その後、誰かに励まされて立ち直って、なんか独りよがりな成長をしたりするんだろう。」 この記述が身も蓋も無さすぎて笑ってしまった。どこかで見たことがあった気のするやつ…。

・読書中、カバーの色合いが似ている感もあるけど、『サイコロジカル』を読んでいた時のことを思い出す。 読んだのは20年前だからはっきり憶えていないけれど、不可逆性が似てるような、懐かしいような。

・「雪洞さんが火急の用があると言うのなら、それは、火急の用があるという意味なのである。」
西尾維新流の言葉遊びなのか、進次郎構文をかましてきたのか判断しにくい表現が出てきて、妙に今を実感する。