暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書雑記-雨隠ギド「甘々と稲妻」、押井守『他力本願 仕事で負けない7つの力』など

 

 読みさしのままにしているマンガを読もう、の流れで雨隠ギド甘々と稲妻」完結巻を読むため、全12巻を最初から読み通した。

 最終話「いってきますとおうちごはん」のラストページ、北海道の大学へと旅立つつむぎがお父さんと小鳥に見送られた後、親子のあの頃を思い返すカット( 1巻の表紙とよく似ていることに書いていて気づいた )に、心がほろほろと揺さぶられた。読者としても、始まりの一つはその姿だもんなー…。

 12巻所収の、複数の番外編で年月が経過して、大きくなってまあ…と近所の人みたいにつむぎや小鳥たちの姿を見て一興、書き下ろしとあとがきでのつむぎの姿、セリフを読んで、広々とした気持ちのまま作品が締めくくられて、大変良いものを読みました。豚の角煮は作れるようになりたい。土鍋も欲しい。

 完結して3年、なんでそんなに積んでいたのかはもう分からないけれど、作品から少し離れてまた読み通して、家庭、家族、その役割の意味と自分がどうしていきたいか、活力となる美味しいものを料理する、食べる、感想を分かち合う、ということの大事さは、リアルタイムで読んでいた頃と環境が少し変わった今、より尊く思えるようになったなあ…。一品ずつ、料理を覚えて、美味しいものを俺も食べよう。炊きたてのご飯は美味しいのです。

 

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 小林信彦『1960年代日記』と押井守『他力本願  仕事で負けない7つの力』を読み終えた。『1960年代日記』は趣が異なるけれど、小林信彦のエンタテイメント時評系は集中して読んでおもしろそうな作品はメモして後々ふれようという予定、しばらくはそうするつもり。

 『他力本願  仕事で負けない7つの力』は「スカイ・クロラ」公開に合わせて出版された、若い人へ向けて制作された意図や、音響や演出での一つひとつの技術の積み重ねが総体として映画を成立させるなど、どこを取っても興味深い話で、まだ「スカイ・クロラ」を観ていないので、これは観て本書の内容を確かめたくなった。8月の晴れた日に観よう。

 そして、他人がいないとこの仕事は成立しない、自分だけの考えでは限界があり、いろんな人の意見やアイデアを聞いて取り入れる、その判断する感覚を研ぎ澄まして勝負所を渡っていく、という到達した考え方に共感した。そういう開かれた方向へ仕事ができるようにならないといけないな、と改めて思う。

 押井守監督作品、パトレイバーを観ていないので、こちらも近い内に観てみよう。「ぶらどらぶ」の方が先になるかな。楽しみが待っている。

 

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 武田百合子富士日記』上巻や金井美恵子『本を書く人読まぬ人 とかくこの世はままならぬ PARTⅡ』をぽつぽつ読み進める。ちょっとした軽口や平然と手厳しい言及が転がってくると、ふふっと笑ったり、思わずこちらが身を竦めたり、刺激的な文章がひっきりなしにやってくる。

 

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 読みさしのままにしているマンガ、今週は雨隠ギド甘々と稲妻」を読んだ。

 完結している作品で読みさしのままにしているものは、柳原望高杉さん家のおべんとう」 /  筒井大志ぼくたちは勉強ができない」 / 松本剛「ロッタレイン」 / 河合克敏とめはねっ!」。次は「ロッタレイン」の予定、通勤のお供で読めるかな。書くと意識が明確になって、効果あるなあ。