暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書雑記-色川孝子『宿六・色川武大』、阿部和重『グランド・フィナーレ』等

ここ最近で読んだものを列挙する。

 

・色川孝子『宿六・色川武大

→ いろんな意味でぶっ飛んだ存在感と人をたらしての魅了に満ちた色川武大阿佐田哲也の最期まで過ごした、従兄弟、妻から見た肖像のエッセイで、

この書き手も様々に飛んでいる視座を持っていて、読み進めながら相当な度量がないとこの人の生活に付き合えなかったんだろうな…という手応えが伝ってくるのがおもしろかった。

これからどんどん色川武大阿佐田哲也の著作を読んでいく中で、度々この本に立ち寄って、イメージを補正するというかピントを合わすというか、描かれた姿をまたじっ、と目を凝らすことになるのだろう。

 

 

冬目景「百木田家の古書暮らし」1巻

 → 新作開幕。職業、恋愛、サスペンスの要素が織り交ぜられた群像劇のよう、

これまでのエッセンスの集大成となるような感じを受けた。続きは夏頃に読める模様、楽しみ。

 

 

・浜田咲良「金曜日はアトリエで」4巻

 → 完結巻。4巻は恵美子の視点から、己が感情に気づき、居ても立ってもいられず出張先の先生へ会いに行き…と、自分の行いたいことを悟った時の表情がとても美しく、良いものを読ませてもらった。

…3、4巻は展開が順調に進んでいって引っかかる所がなかった分、1、2巻のワンダーに満ちて読み込むのに時間をかけた方が印象に残るのは、しょうがないか。また読み返して、受ける感想は変わることだろう。

 

 

・小林俊彦「青の島とねこ一匹」6巻

  → 夏の情景、今巻も読んで束の間の一服を過ごさせてもらった。

 

 

阿部和重グランド・フィナーレ

  → そろそろ小説を読みたいなと思い、中編ぐらいの量で何かと探している内に本書を手に取り、読み終えた。

表題作の冒頭、何が描かれているかよく分からなかったが、数ページ読み進めてああ子供服を購入しようとしている所なのか、と思った途端に、作品の世界が頭の中で立体的に現れてびっくりした。こういう文章の組み立て方があるのか…と刺激的で楽しい体験だった。

そうして読み進めて、悔恨とそれでも機会があって対象に接してしまう甘さ、死の方向に流れているのではと合点して食い止めようとする倫理観、どれも一緒くたにそうであるべき人間としての形とならない、なるはずもないという姿が、ただただリアルで息を呑んだ。そして、勿忘草の物語が開幕する…。

神町トリロジーシンセミア』『ピストルズ』『オーガ(ニ)ズム』を読みたい気持ちが高まっているので、次は『ニッポニアニッポン』を読んで、『シンセミア』へ流れていきたい。

 

 

・博「明日ちゃんのセーラー服」1巻

  → 前々から気になっていた作品、そろそろ読もうと思って手に取った。

女の子の制服を着る時の仕草、好きなものを目に映す様々な表情等を、時には異様にも見えるほどのフェティッシュな描き方に面食らいつつ、内容は中学校入学の新生活のフレッシュさがなんとも眩しく、こちらの淀んだ姿は消滅するくらいだ。良いマンガを読ませてくれそうで、楽しみがつづく。