暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書雑記 - 乗代雄介『十七八より』読み進み

 

乗代雄介『十七八より』を92ページまで読み進める。

 

63ページより引用。

地の文に「私」が出てきた!という驚きから引用した。

…いきなり「私」って誰なんだよ!というツッコミを入れつつ、これは、少女が過去を振り返っている回想なのかなと考える。あちらこちらへ詳細に入り組んだ回想をするだろうか、でも叔母から「クラスに佇むスキャンダラスな女の子。物憂げと洗練と、ゾンビみたいな感傷と」と評されもする少女だったら、特段不思議ではないかもしれない。

書かれている内容と、誰がナレーションしているのか、そういった所への興味は読み進める毎に膨れていく。

 

この「適温」に苦しむという弱味がどれほど社交を困難にしてきたかわからない。夏場のリビングに置かれた灰色の首振り扇風機のぬるい風が、私の心を不思議と慰めてくれるのである。どうも、少女といっしょに集中力を失ってきたらしい。