暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書雑記 - 『古井由吉自撰作品 一』より「行隠れ」 読み進み

 

平日の忙しさにかまけて、3日坊主になることは目に見えているが、とにかく読書中に感じたことを書きつけてみる。

自他問わず、読後の感想を読むことが好きなのでたまに書いたりするけれど、

読書中に思ったこと、感じたことを流れるままに記し、後で振り返ることができるようにもしたいなとずっと前から考えていて、twitterでなぐり書きするようにして、

ブログへ転記して纏めるのがやりやすいかなと見て、ひとまず行ってみる。

 

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古井由吉自撰作品 一』より「行隠れ」 - 「落合い」を読み終えた。

地の文から離れて見遣ると、若い男女の気ままな長崎旅行で、夜の繁華街から逸れて坂を登り石段をひらひらと上がっていき、疲れ果てて行き着いた旅館での一幕は、

いかようにも気配を向かわせられる中で( 泰夫も身体として本能としてそちらに向かいかける兆しを自覚している )、

ああも後ろめたさが伝ってくる、襲わせないように寝所をあえて一つにし、唇を交わしながらもセックスは良子がはっきりと拒否して、二人身じろぎもせず横たわる、その様を描き出す夢現の行き来する文章、男女の心情の目まぐるしい動きに読み応えを感じた。

なんというか、息をひそめてその情景を見つめ次にどこへ向かうかを想像する、

普段あまり使わない思考が回転を始めて頭はぷすぷす熱を帯びる、それもまた楽しい。

この先の泰夫と良子の関係性に関心を抱きながら、最後を飾る「夢語り」へ。

 

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今年から当分は、古井由吉の作品を中心に読み進めよう、と決めて、

手元にある本の収録作品や、未入手で読みたい作品を確認している内に、

全集や自撰作品、コレクション等、纏まった作品集を持っている場合は、

それを軸とし、初期から読み進んでいった方が、その作家の築いた道を辿りやすく、また寄り道しやすいと当たり前のようなことが腑に落ちた。

自分が興味を持った作品から読み進めたってもちろん良いが、そうやって作家と出会った時期はもうとうに過ぎて、この付き合い方がしっくり来るようだ。

いろんな補助線を沿ったりしながら小説、エッセイにふれていって、新鮮な感覚を得たい。金井美恵子の作品もそうして読んでいきたい。

 

時間はどんどん過ぎていくので、毎日コツコツと、少しでも、1ページでも、読んでいって、今とは違う所へ行きたい。