暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書

 タンブラーの威力に気づく秋の夜。冷気の持続があんなに重要だったとは……お金を出してみるものだ。平日もお酒を飲んでしまう勢いが到来した……!


 舞城王太郎ディスコ探偵水曜日』上巻をちょろっと読み、浦賀和宏『ふたりの果て/ハーフウェイ・ハウスの殺人』ふたりの果て/ハーフウェイ・ハウスの殺人と同著者『さよなら純菜 そして、不死の怪物』さよなら純菜 そして、不死の怪物 (講談社ノベルス)を読みおえ、同著者『世界でいちばん醜い子供』世界でいちばん醜い子供 (講談社ノベルス)を読みすすめる。
 

 浦賀和宏『ふたりの果て/ハーフウェイ・ハウスの殺人』は、社会の縁から外れたところで生きざるをえない男の物語「ふたりの果て」と、社会から隔絶された学園 = ハーフウェイ・ハウスで生活する22人の生徒と3人の教師、その中の生徒の1人、アガサ・クリスティーの小説に傾倒する女の子の物語「ハーフウェイ・ハウスの殺人」二つの物語が並行して進み、交差した先にどんなビジョンを見るか……といった趣向のミステリ、のはずだが、なんとまあ、というラストに著者のらしさを感じる。
 あの道具立てなら、どうとでも未来に明るさを抱かせるお話を描けると思えるのに、探偵による解決編を読みすすめていくほど「そりゃそうだ」という現実の真っ当な壁とそこから逃れるだけの姿の脆さに息を詰め、最後の分け目まで読みおえると、同著者の『とらわれびと』のあの台詞とラストが思い出されて、この重さが著者の小説を読むことなのだと改めて知る。いやー…めまぐるしい小説だった。
 推論の連続は作中の言葉にあるようにキリがなくて読むのがまだるっこしくなったが、それはそれ、読み心地は帯、そして表紙のように深い森の迷宮へ誘われたよう。こういう小説も良いです。荒唐無稽というか力技で言えば、『月の裏文明委員会』『地球空洞委員会』を切に楽しみにしております。


 浦賀和宏の新作を読みおえ、松浦純菜シリーズを最後まで読む熱が高まり、読みかけの同著者『さよなら純菜 そして、不死の怪物』を読みおえる。それにしても読みの多い文章だ。
 タイトルが現すままの展開で、他者から自分がどう思われるか考えることを止めて激情に身を委ねることを体得した剛士による川商殴りこみ大作戦がいよいよ決行、その怒涛たる暴力の嵐っぷりに、哀しさを覚えつつ、えらいこっちゃ……つづきつづき、ということでシリーズ6作目の『世界でいちばん醜い子供』を読みすすめる。浦賀和宏が書く女性一人称の、手の内に入れた独特の浮遊感がとても好きだ。技術の粋をここにひとつ、見ているのだと思う。

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