暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書

 朝と夜の外気にふれるとすっかり秋の涼しさになって夏が過ぎたことを感じるが、晴れの日の昼間に外へ出てみると陽射しはまだまだ夏のそれで、暑いけれども表面にやって来るじりじりした感触は懐かしくて気持ちいい。雨や曇りの日がつづいていたからそう思えたのだが、やっぱりもうちょい夏の光を見ていたいのだ。そうして9月が過ぎていく。
 平日は小説やマンガなどの物語を読む気力、というか体力がほぼ無く、その状態がこれからもしばらくつづきそうな感があるので、積読本からエッセイ集や連作でない短編集、ノンフィクションを発掘して手に取りやすいところに置く。長い物語に没入したいという気持ちと、そうできない体力の無さから、1日の歩く量を増やすことに決める。あと、ネットをする時間を減らす。できることから少しずつこなしていって、カフカ『城』やウラジミール・ナボコフ『ロリータ』、倉橋由美子『スミヤキストQの冒険』など屹立する山を読む日を引き寄せたい。


 矢作俊彦『複雑な彼女と単純な場所』と森博嗣ダウン・ツ・ヘヴン』を読みすすめ、橋本治橋本治という立ち止まり方 on the street when you live』橋本治という立ち止まり方 on the street where you live爆笑問題爆笑問題の「文学のススメ」』爆笑問題の「文学のススメ」 (新潮文庫)川原泉「本日のお言葉 名言366日の本」本日のお言葉―名言366日の本 (白泉社文庫)を読みおえる。

 橋本治橋本治という立ち止まり方』は2008年の秋から2012年の春にかけて記された、時流エッセイ( と思える )をまとめたもの。
 著者が2010年の秋に病気に罹り入院生活を送る前の時点で、この本に『橋本治という立ち止まり方』というタイトルをつけることを決めていた、そこまでの流れとその後の現在-時代の趨勢と自身の近況-を読むことにより、このタイトルはとてもしっくり来た。一度ぶっ倒れるまで動きつづけないと、なぜそうまでして動いてしまったのかを得心できない、という視座のひとつから時流に沿ったり沿らなかったりしつつ「変だな」と思ったことを、何が変なのか、なぜ変なのか、こうすれば変でないのにどうして現在の変な状態になっているのか、ではここからどうすればいいのか?と説くことにより、立ち止まってものを考える、そして止まりはしない現実へまた進んでいく著者の考え方の強靭さが、タイトルに現れているように感じたのだ。振り返ってすぐ先ずっと先へ考えながら進むために、歴史を知ることは大きな一歩となることを改めて思う。足りないものを埋めてまた別の足りないものを見つけて埋めたりしつつ、先へ行きたい。その先へ行くために、自分の頭でものを考えることを促す橋本治の著作は、大いなる武器であることだろう。


 爆笑問題爆笑問題の「文学のススメ」』は積読本を発掘している時に見かけ、番組の懐かしさから手に取り読みおえる。様々な作家の、テーマに沿って異端なエピソードや創作の根っこを読むにつれ、妄想を膨らませて虚構を精緻に作り上げるには、現実を見ることから始まるのだとつくづく思う。しかし、岩井志麻子の回はアレすぎるエピソードの連発で、文中同様、どう感想を持てばいいのだ……と困惑しきり、でもそれを滔々と語る様がおもしろかった!