暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

読書

 この1週間で読んだものを挙げる。

 ・小林俊彦「ぱすてる」40巻ぱすてる(40) (講談社コミックス)
 ・紙魚丸惰性67パーセント」1巻惰性67パーセント 1 (ヤングジャンプコミックス)
 ・町田康『くっすん大黒』くっすん大黒 (文春文庫)
 ・安倍吉俊「今日の北上さん」四
 ・森博嗣大学の話をしましょうか大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)


 小林俊彦「ぱすてる」40巻は、お話がこれまでの停滞を打ち破って大きく進みだす……告白のあとの連載期間( およそ9年 )はマジでなんだったの!?という感じだけれど、いやー、何はともあれ話が進んで良かった。ただ、次は少しでも意味のある時間の中へ誘ってくれると良いが。好きなキャラたちがたくさんいるだけに、切に願う。


 紙魚丸惰性67パーセント」1巻は著者の一般誌初の単行本。著者が今現在ホットミルク誌で書き連ねている「女王シリーズ」( 正式なシリーズ名があるか分からないので暫定 )と今回の作品で、・大学生、・漫研( のはず )、・後ろ向きでないけど明るく前向きでもないローでまったり、といった設定の枠組みを用いていることを見て、ふと、松本零士の作品が脳裏に浮かんできた。つまり、「惰性67パーセント」が「男おいどん」かのようであり、「女王シリーズ」が「元祖大四畳半大物語」かのような、双子の作品を読んでいるイメージ。「惰性67パーセント」では本番……どころかソフトタッチなシーンは今のところ無くこれからもたぶん無いと思うが、「女王シリーズ」では貞操観念がサークル外へも侵食しつつある状況は、著者がこれらを軸にして折り合って描いていることにより生み出されているのではないかと考えると、ゆくゆくはどちらの作品でもどえらいものを読むことが出来るのではないか、と期待するのだった。なんといっても女の子の異様な寛容さに戦いてしまうのだから。


 おそらくどれを読んでもめちゃくちゃおもしろいから変に安心してなかなか読まない、というよく分からない個人的な作家分類の筆頭が町田康で、そのデビュー作『くっすん大黒』を今日手に取りげらげらげらげら笑いながら読みおえる。やっぱりおもしろしすぎる……!冒頭の段落の、自堕落、飛んで跳ねてけどまともな語りに誘われて、背中に嫌な冷や汗をかく最後まで特に変わりなんぞしない日常を笑いながら読み、ひたすら楽しかった!10年くらい前に読んだ『夫婦茶碗』以来で作品を読んだけれど、これからはちょこちょこ読もう。次は『きれぎれ』を読みたかったが寄った本屋で見つからなかったので、積んでいる『パンク侍、斬られて候』を読む。それにしても各短編の切れ味といったらない。世界を開きっぱなしのまま句点を打ってこれでおしまいと締める様に、こちらの口も開いたまま塞がらなくってうひゃーと声を出す。うひゃー。


 安倍吉俊「今日の北上さん」四は夏冬コミケ開催でのお楽しみのひとつ。艦これを被った作者の日常マンガ、もちろんそれでオッケーだ!ニセ阿武隈のネタが毎回げらげら笑える……!


 森博嗣大学の話をしましょうか』収録の「思い出は全部綺麗です」での締めくくりの文章を読んで、少し目頭が熱くなる。
 「人生の華」であった頃を思い返す懐古的な流れ( エッセイの目的がそうなので当然であるが )で、その時があったからこそ今があるという感謝の念を現した文章に、内容を離れて、読者だった者としてあれこれと考えてしまう。S&MやVシリーズを貪るように読んだ高校生のあの頃は、夢のような時だったと今振り返ってもありありと思い出せるーその時もそう感じていた!その時をもたらしたものたちに感謝の念は、死ぬまでずっと持ち続けている、と確信しているのだ。
 次は『喜嶋先生の静かな世界』か『ダウン・ツ・ヘヴン』を読もうか……未来を見据える視点を持った人の文章は読んでいて本当に痺れる。ちょこちょこ読みかえして、生きる指針の糧にしていくと思う。それくらい、これまでに憧れた人の姿を見て未来でどのように生きたいかとぼんやり想像しながら、一つひとつ事を為していくためにどう過ごしていくか、という生き方は、強靭なのだ。俺もがんばろう。