暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

プール掃除はしてみたかった。


 秋山瑞人イリヤの空、UFOの夏』その3を手に取り「無銭飲食列伝」まで読み、数年前に途中で止まっていた渡辺俊介アンダースロー論』を改めて読みはじめて52ページまで読みすすめ、こちらも途中で止まっていた山川直人「ナルミさん愛してるその他の短篇」を読みおえる。
 『イリヤ〜』はちらと想像するだに恐ろしい光景が、伊里野と晶穂の意地と意地のぶつかり合いによって生成され、その光景が過ぎ去ったあとのふたりから展開されたことがなんとも微笑ましい。そこここにある熱情が行き場を求めては不完全燃焼になったり昇華されたりする様に、訳もなく懐かしみを覚えるのだった。しかしまあ、どんな胃袋してんだ一体、ふたりとも……譲れないものの尊さを垣間見た気もする。
 『アンダースロー論』はまたいつかキャッチボールやトスバッティングをやるときのために心がけておくことがいっぱい書かれていて、その都度に室内でシャドウピッチングをしながら読書が進んでいく。それだけでなく、自分だけにしか満たさないこだわりから脱却するまでの過程なども述べられていて、とてもためになる。ただ、知識や教訓として得たことをどう外に放つか、ということを俺はもっと考えないといけないな……。まずは机に向かえ!、か。
 「ナルミさん〜」は、ナルミさんの身辺の変化をいつもとは違う電話の話し相手との様子や大きさの違うふたつの食器のカットといった風に徐々に描きながら、そうしなければならなかったラストへの結実に至るのを読んで、おおおっー……と静かに息を呑む。「だって愛してる」の言葉がずん、と胸に沈むなあ……。ここしばらくは著者の作品を追っていなかったけれど、ちゃんと読まないといけないなと思った次第。ぼちぼち買い集めます。

アンダースロー論 (光文社新書)

アンダースロー論 (光文社新書)

ナルミさん愛してる―その他の短篇 (BEAM COMIX)

ナルミさん愛してる―その他の短篇 (BEAM COMIX)