暗闇のほとりで

読んでいる本についてつらつら書いています

 

若竹七海『プレゼント』を読み終える。

 

とにもかくにも「ロバの穴」の、悪意が渦を巻いて拡散していく様相に胸がずーんと来て、なかなか次の「殺人工作」を読む気になれなかった。

そこへ飛び込んでいったとしても、探偵役はなんと辛い役回りだ…。

 

歯切れの良い文章で綴られる、どこかねじが外れている気はするけれど倫理に真摯な葉村晶の目線が、 読んでいて追いかけるようになって次のページ、別のお話、最後のページへ行き着いた。

記憶力はさっぱり無いので、話の後半を読んで「なんだったっけこの道具立て…」となって冒頭を読み返して納得がいったり結局いかなかったりしつつ、

ここで直截に動機を書いていないのは想像に至る要素をすべて提示しているのであとは考えてみて、 と作者に言われているような気になって、

よしじゃあもう一回考えてみるかと冒頭から読み返して、無駄肉のない道具立てや意匠にハッと驚き、また鮮やかに裏返される。 

めくれ上がった真相に「そんなことがあるのか?」と思うのはアホみたいだけど、 「そういうこともあるのだ、この人たちだったら」と思わせる、そんな短編たちだった。

 

…「トラブル・メーカー」298ページの地の文での葉村晶のツッコミには、読んでいて吹き出してしまった。

状況からして、そらそうも言うわな…。ここでトラブルに巻き込まれた探偵の声が鮮明に伝わってきて、えらく印象に残ってしまった。 

 

*


若竹七海作品はこれが初読み。 ずっと前から名前を知っていたけれど、読む機会を見つけられないままで、 貸してもらったこの『プレゼント』もそこから1年半でようやく読み、これは良い作家を知ることが出来た。

 

次は『依頼人は死んだ』を読もう。夏には読もう。

 

 

プレゼント (中公文庫)

プレゼント (中公文庫)

  • 作者:若竹 七海
  • 発売日: 1998/12/01
  • メディア: 文庫
 

 

 

最近の読書について、取り留めなく書く。
 
*
 
去年の11月末から、マンガの新刊が思うように読めない状態が深くなって、
積読が溜まる一方になっていた。
 
前から、ストーリー系のマンガに追いて行けない傾向はあったけれど( 赤坂アカかぐや様は告らせたい」の新刊を買うも1年間積読、春場ねぎ「五等分の花嫁」の連載購読から脱落、など )、
ストーリー系だけでなくコメディや1話完結系も、ピントが合わなくて読む手を止める感じになっていた。
 
そうなった理由はこれだ、というのは今も突き止められていないけれど、
週末の休みは競馬にかかりっきりであったり、仕事の忙しさに疲弊してお話を読み込む土台が残っていなかった、ということはあったんだろう。
 
この状態もある程度過ぎれば自ずと解消するだろう、
と思っていたけれど年が明けても1月を越えてもあまり変わらなくて、
続き物で込み入った構造を売りにしていないマンガはなんとか読めたにはしても、
こういったものを読みたい!という新鮮な気持ちをなかなか掴めなかったのが響いた。
 
読めないな、それにつけても読めなくて積読が溜まるのはもどかしいな、と思いながら日々を過ごしていた中で、小田扉の新作「横須賀こずえ」1巻を読んだ。
爽快な新風が体を吹き抜けたという感覚そのままに、読書の手応えを感じた。
 
団地ともお」完結の次回作はどういったものが出てくるのだろう…と思っていたら、「団地ともお」のアップデートという感もあり、横須賀という実際の土地と、
著者のくすぐりとキャラのスケッチとが跳ねて、めちゃくちゃおもしろいマンガを読んだなー!という気持ちになった。
そして、今まで見過ごしていたものを見に行こう、と考えるようになった。犬であり小学四年生に程近いこずえの視点から家と地域を見て回るお話に、目が洗われたと言うべきか。
 
そこからどんどんマンガが読めるようになった。
 
前述の赤坂アカかぐや様は告らせたい」は2019年1月発売の13巻から最新刊17巻までの5巻を積んでいたが、読んでやっぱりこのマンガおもしれーなー、進展してもまだまだ乗り越えるべきものがあるもんな、と思ったり、
積んだまま読む機会を見失っていた平野耕太ドリフターズ」6巻や冬目景「空電の姫君」1巻 / 「黒鉄・改」3巻を読んで改めて作品のおもしろさを実感した。
 
読んでいく中で、オジロマコト「君は放課後インソムニア」1 ~ 2巻が出色の出来だったこともふれておきたい。
富士山さんは思春期」「猫のお寺の知恩さん」と来て、さて次回作はいかなるものかと思っている内に2巻まで出ていて、よっしゃ読もう!と2冊を通勤鞄に入れて往復の電車内で読み、言いようのない充足感を得たのが忘れられない。
不眠にとらわれた若いふたりが、夜の市街地や海をふたりで歩きたくって歩いて行くその様が、なんであんなにもファンタジックに映るのか。
著者の描き出すビジョンも相まって、そうしてみたかった光景がとても美しく感じたからだろう。面映すぎて、最強ですよあのふたりは。
 
電車の中でマンガが読める状態になったのは嬉しいことだ。
この1週間は仕事が忙しすぎて赤坂アカかぐや様は告らせたい」16 ~ 17巻と押切蓮介ハイスコアガール」10巻を読んだぐらいで、眠りに任せていたけれど、そればかりはつまらないので、マンガを読むペースを損なわないようにしたい。
山本ルンルン「サーカスの娘 オルガ」2 ~ 3巻や冬目景イエスタデイをうたって」10 ~ 11巻を読めるようになれれば。
 
ストーリー系が読めない時期が長くなって、完結を迎えた作品が積読棚に多くなってきた。積読にしたまま手放した作品は数知れず、今も積んでいるくらいには関心があるので、読んで整理をつけておきたい。
 
…電車の中で小説がさっぱり読めないのは一体どういうことなんだろうとも思う。
移動する速度が読み取り速度と比例する、というようなことが書かれたエッセイやら記事かネタをいつか読んだ記憶があり、それがずっと引っかかっている。どうやら俺には反比例の方で当てはまるようだ。マンガは比例している感じはする。
部屋で座っている時か布団で寝っ転がっている時に読まないとどうも進まない。
 
あとは「twitter」「マリオカートツアー」「ラブプラス EVERY」に立ち戻る時間を減らして回せると良いが、こちらもライフワークという感じ。どちらも程々に、目や体を労ろう…。
 
横須賀こずえ (1) (ビッグコミックス)

横須賀こずえ (1) (ビッグコミックス)

  • 作者:小田 扉
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: コミック
 
君は放課後インソムニア (1) (BIG SPIRITS COMICS)

君は放課後インソムニア (1) (BIG SPIRITS COMICS)

 
君は放課後インソムニア (2) (BIG SPIRITS COMICS)

君は放課後インソムニア (2) (BIG SPIRITS COMICS)

 

 

 
 
 
 

○1/4から仕事始め。そこから読んだものは大スポの競馬面ばかり。そして馬券は外す。

 

○通勤の電車内での過ごし方をもっと充実させたい。朝と夜とで体調やテンションは異なるから、それぞれに合う過ごし方を選択して、死んだ目で揺られるのは免れたいところ。小説が読みたい。

 

古賀亮一「宇宙警察☆ミーティアわんわん」3巻を読みはじめる。

オジロマコト猫のお寺の知恩さん」9巻を読みおえる。この9巻にて完結。

ああ、終わってしまった…というさみしさと、見事にこの作品の雰囲気を湛えたまま締めくくってくれた、心配はしていなかったけれど本当に良かった、という気持ちになりながら、本を閉じた。

空気の澄んでいそうな、何気ない情景が鮮やかに描かれてゆくのを読んで、心が洗われるを何度も体験した。その読書時間はとても貴重なもの。なかなかに得難い作品だった。…源、やったな!いつかの土日で読みかえそう。『富士山さんは思春期』も読みかえそう。

猫のお寺の知恩さん(9) (ビッグコミックス)

 

井上小春死神坊ちゃんと黒メイド」4巻を読みおえる。アリスはいつも魅力的、坊ちゃんはようよう前へと動き出している。そろそろ1巻から読みかえして、関係性を読み込もう。

死神坊ちゃんと黒メイド(4) (サンデーうぇぶりコミックス)

 

 

庄司薫『バクの飼い主めざして』を236ページまで読みすすめる。

 

 ○書店へ行って去年の買いそびれや勉強用の書籍を購入する。石川宗生『半分世界』を立ち読みするのを忘れた…次に行く時に立ち読みして、感触を確かめよう。

吾妻ひでお「エイリアン永理」を読みおえる。

「有田と週刊プロレスと」を観ている影響でUWFネタが分かって嬉しい、と「マニアック・るいちゃん」を読んで思う。
アル中の真っ只中かは分からないけれど、このお話は吾妻作品の中でもなかなかに展開やオチが、こう…というのが表題作のうちにいくつかあって、「失踪日記」「アル中病棟」等で言及されていた入院前のマンガ、興味深かったの一言に尽きる。「クラッシュ奥さん」も入手して読もう。

 

エイリアン永理 (ぶんか社コミックス)

 

○OYSTER「超可動ガールズ」1巻を読みおえる。ニコニコ漫画で連載を読んでいるので、特に言うことなし。OYSTER作品のアニメ化、想像がつきにくいけれど、楽しみにしております。

 

超可動ガールズ : 1 (アクションコミックス)

 

 

矢作俊彦『ドアを開いて彼女の中へ』を読みおえる。

平成が終わる前、元号が変わる前の今のタイミングで読みおえられて良かったかな。矢作俊彦の作品を読みすすめていくうちに、この本の最後に置かれた文章や解説での問題意識にふれることがあるような気がする。時代を観る目は磨いておきたいのだ。

ASIN:4101180148 

 

 

庄司薫『バクの飼い主めざして』を213ページまで読みすすめる。

○今年の読みはじめにて、井上オークス『いま、賭けにゆきます』を読みおえる。

末尾を飾る「岩手のアイドル-あとがきにかえて」での、未来へ臨む静かで熱い想いに充ちた文章を読んで、良い作家だなと心強くなった。東日本大震災が発生して約1ヶ月後に綴られた文章を、約8年後の今にて読んで、記された人たちの活躍を思い返して、また活力の凄さを知る。

四方へ出かけての旅打ち、本当にやってみたい。一泊二日でも、きっとできるはず。冬の小倉、春の中京、初夏の新潟、夏の函館、札幌…地方競馬も考えたら、旅に出たくなってくる。

いま、賭けにゆきます (競馬ベスト新書)

 

○むんこ「らいか・デイズ」25巻を読みおえる。

本編の感想は高値安定といったところ、カバーを外して、漆野アルファものがいつか一冊に纏まることを祈って、本棚に仕舞う。長いシリーズになりました。

らいか・デイズ (25) (まんがタイムコミックス)

 

 

○「孤独のグルメ」Season7から昨日の大晦日スペシャルまで観る。麻婆豆腐専門店の響きにそそられる。

 

○新年を迎えて、心機一転で読書状況をつける。1日1ページでも読む、ということができるよう、つけていく。

2018年もいろいろと読んだり観たりしたので、印象に残ったものを列記しておく。

→過去の振り返り。

2017年 / 2016年 /2015年 / 2014年 / 2013年 / 2012年 / 2011年 / 2010年

 

[ 小説 ]
読了冊数 : 10冊

宮本輝優駿』上下巻優駿〈上〉 (新潮文庫)優駿〈下〉 (新潮文庫)

打海文三『苦い娘』苦い娘 (中公文庫)
東野圭吾『むかし僕が死んだ家』むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

 

宮本輝優駿』は久しぶりに夢中になって小説を読んでいた。様々な人間の流れが行き交う中でオラシオンが静かに屹立して時が進んでいく物語に、ただただ息を呑んでいた。きっとまた、ゆっくり読みかえすことだろう。

『むかし僕が死んだ家』にて東野圭吾の作品を十数年ぶりに読んで、こんなに読みやすかったのかとおどろく。
作品にとって必要なことがクリアに見えてくるような、情報量が統制された文章と展開が新鮮だった。また読んでいきたい。次は『宿命』かな。

 


[ 書籍 ]
読了冊数 : 8冊

内藤哲也『トランキーロ 内藤哲也自伝 EPISODIO1』新日本プロレスブックス トランキーロ 内藤哲也自伝 EPISODIO1
倉田英之『倉本50 倉田の蔵出し』倉本50 倉田の蔵出し
内田百間『第一阿房列車第一阿房列車 (新潮文庫)

 

『倉本50 倉田の蔵出し』での先達の生き様にいろいろ感じ取る部分がありつつ、それを魅せる文章芸を堪能する。生きてゆくことは本当に大変だ…でも、次に自分が何に惹かれるか、今は予測できないから、知りたくて生きたいんだよな。生きよう。

 

 

[ コミック ]
読了冊数 : 137冊

・稲井カオル「うたかたダイアログ」1~2巻うたかたダイアログ 1 (花とゆめコミックス)うたかたダイアログ 2 (花とゆめコミックス)
・OYSTER「ウムルとタウィル」ウムルとタウィル (HJコミックス)
・加藤雄一「やんちゃギャルの安城さん」1~2巻やんちゃギャルの安城さん(1) (ヤングキングコミックス)やんちゃギャルの安城さん(2) (ヤングキングコミックス)
kashmir「ななかさんの印税生活入門」2巻ななかさんの印税生活入門 (2) (まんがタイムKRコミックス)
・くろは「有害指定同級生」1巻有害指定同級生 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
梶尾真治 + 鶴田謙二「續々さすらいエマノン續々さすらいエマノン (リュウコミックス)
水沢悦子「もしもし、てるみです。」全2巻もしもし、てるみです。 1 (ビッグコミックススペシャル)もしもし、てるみです。 2 (2) (ビッグコミックススペシャル)
・西原梨花「落ちてるふたり」全2巻落ちてるふたり(1) (講談社コミックス)ASIN:4065129842
・森田るい「我らコンタクティ」我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)
望月峯太郎ドラゴンヘッド」全10巻ドラゴンヘッド(1) (ヤンマガKCスペシャル)ドラゴンヘッド(10) (ヤンマガKCスペシャル)
一條裕子「道子のほざき」 / 「2組のお友達。」緑・赤の本 / 「わさび」全4巻道子のほざき (BBMF books)2組のお友達。 (緑の本) (Big spirits comics special)2組のお友達。 (橙の本) (Big spirits comics special)わさび (第1集) (ビッグスピリッツコミックススペシャル)
・氷川翔「万代かなめは遊びたい」1巻万代かなめは遊びたい(1) (メテオCOMICS)
ストロマ「スターマイン」9巻スターマイン (9) (4コマKINGSぱれっとコミックス)
黒田硫黄「きょうのカプセル」きょうのカプセル (ワイドKC)
・南郷晃太「こじらせ百鬼ドマイナー」1巻こじらせ百鬼ドマイナー 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
古賀亮一「新ゲノム」8巻新ゲノム8 (メガストアコミックス)
赤坂アカかぐや様は告らせたい」8~12巻かぐや様は告らせたい 8 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)かぐや様は告らせたい 9 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)かぐや様は告らせたい 10 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)かぐや様は告らせたい 11: ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)かぐや様は告らせたい 12: ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)
・春場ねぎ「五等分の花嫁」3~7巻五等分の花嫁(3) (週刊少年マガジンコミックス)五等分の花嫁(4) (週刊少年マガジンコミックス)五等分の花嫁(5) (週刊少年マガジンコミックス)五等分の花嫁(6) (週刊少年マガジンコミックス)五等分の花嫁(7) (週刊少年マガジンコミックス)
・ふじのきともこ「絶対に壊れない友達をください。」
・ゆずチリ「姫乃ちゃんに恋はまだ早い」
谷川ニコ私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」
・Cygames / 伊藤仁 / 熊ジェット「うまよん」

 

一條裕子「道子のほざき」を読めたのが今年一番の収穫かな。失業中の父親を斬新な解釈( ? )の麻雀用語をもってして自由自在にとぼけるなだめすかせて現代を生き延びさせる、最高のギャグマンガ。帯やあとがきも肩の力を外しに全力で掛かる中、「対々和」のあの勢いに撃沈するのだ。ヘイヘイホー…!

 

春場ねぎ『五等分の花嫁』は全員魅力的なヒロインというのが本当に凄まじい。その中で、最新話にて三玖の破壊力抜群の愛情表現が炸裂して、でも自分の想いに気づいた一花や二乃が控えているわけで、どういう風に1話冒頭へ持っていくのだろう…最新話がひたすら待ち遠しい。

 

 

[ アニメ ]

・「ウマ娘プリティーダービー『ウマ箱』第1コーナー(アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』トレーナーズBOX) [Blu-ray]『ウマ箱』第2コーナー(アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』トレーナーズBOX) [Blu-ray]『ウマ箱』第3コーナー(アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』トレーナーズBOX) [Blu-ray]『ウマ箱』第4コーナー(アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』トレーナーズBOX) [Blu-ray]

 

ウマ娘」は本放送を録画していなかったのが悔やまれる。めちゃくちゃ熱くておもしろい ifの世界、続編希望!

 

 

○まとめ

2018年の目標にしていた「舞城王太郎ディスコ探偵水曜日』とガルシア・マルケス百年の孤独』を読みはじめる」ことは、引き続き来年の目標にしておこう( 3年連続3度目 )。読む機運が熟するのを待っている。

仕事は忙しい環境で、それはそれとして、いろんなものを読んだり観たりして刺激を受けながら、しっかり生きてゆこう。

そうできるよう、通勤でぐったりしているのを減らして読書できるよう、マッサージや整体、風呂に浸かったりして疲れを取る。そこからだ。それを日々続けるのが難しいのは承知しつつ、でも、読書して夢中になりたいしな。

それでは、よいお年を。